速水 淳子

「和文講読」 田植えから始まる

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2003年に日本のトキが野生絶滅した。ニッポニア・ニッポンと呼ばれる鳥である。トキを絶滅させた世紀に生きる人間として、私たちは何を受け継ぎどこへ向かっているのかを考えてみよう。

ホトトギス、卯の花、早苗、ヒキガエル、ニイニイゼミ、ヒグラシ、アカトンボ、秋に鳴く虫、ヤマザクラ。千年以上日本人に愛されつづけた自然が志木高の中にもある。昔の人々にとって季節の変化に感動し、身近な自然を思うことは人間らしく生きるために欠かせないことだった。多くの日本人は身近な自然や生き物たちを見つめながら人生を送り、生き物たちの営みによって人生の針を回した。自然を欠いた人生など考えられなかった。志木高の田んぼにはメダカ、カルガモ、ドジョウ、オタマジャクシ、ヤゴ、アメンボなどたくさんの生き物たちが生きている。これらの小さな生命を見つめ、田植えをしよう。3年生の自由選択科目「和文講読」の授業で米作りを始めて3年目、お茶碗一杯を10人の履修者で分かち合って食べた初年度からさしたる進歩はないかもしれない。しかし命にぎわう田んぼでとれたお米には心を満たす何かがある。

速水 淳子 (はやみ じゅんこ)
担当教科:国語  新聞部部長

(2012年10月)