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慶應義塾志木高等学校 学校概要

『慶應義塾の目的』福澤諭吉

慶應義塾は、どこにでもあるような学校の一つとなることで満足するところではありません。慶應義塾は、義塾で学ぶ塾生や塾員が、日本における「気品の泉源」・「智徳の模範」となることを目指す学塾です。それを具体的に言うならば、塾生・塾員が、家庭を安定させ、世の中で暮らしを立て、さらには国の独立を保つことの本来の意味を明確にしたうえで、それをただ口にするだけでなく、自ら行動に移すことで、「全社会の先導者」となってくれることを願っているのです。(試訳)

 1858(安政5)年10月、のちに『学問のすゝめ』や『文明論之概略』を著すなど、啓蒙思想家・教育者・ジャーナリストとして多方面にわたって近代日本をリードすることになる福澤諭吉(1835-1901)が、江戸(現在の東京)に小さな蘭学塾を開きました(のちに英学塾に転換)。これが、日本の私立総合大学のなかで最も古い歴史を誇る慶應義塾大学を中核とした学校法人慶應義塾の始まりです。上に掲げた「慶應義塾の目的」は、創設者福澤が1896(明治29)年11月に行った自身の演説の一部を抜き出して作成した文章であり、慶應義塾の目的とするところを簡潔に表現したものとして広く知られています。

この慶應義塾の伝統を受け継ぎ、一翼を担う存在として埼玉県志木市に開設されているのが本校、慶應義塾志木高等学校です。その前身は慶應義塾農業高等学校であり、1947(昭和22)年9月に慶應義塾の塾員(卒業生)であった松永安左ヱ門(1875-1971)から財団法人東邦産業研究所の土地と建物が慶應義塾に寄贈され、それを受けて志木の地に移転してきた慶應義塾獣医畜産専門学校を基礎として、翌1948年5月に開校しました。その後、慶應義塾農業高等学校は1957年4月に普通高校に転換、同時に慶應義塾志木高等学校と改称され、学校長の推薦によって卒業生のほぼ全員が慶應義塾大学に進学する全日制普通科の男子校として今日に至っています(1学年約250名)。

そして現在、本校では107,345㎡に及ぶ広大な校地、充実した施設と、武蔵野の面影をとどめる美しい森をはじめとした豊かな自然という恵まれた環境を活かして、おおらかな雰囲気のもと、生徒一人一人の個性や自主性を尊重しつつ、大学受験の枠にとらわれない、大学の一般教養課程にも及ぶ専門的かつ独創的な教育を行っています。このことは、本校の卒業生が実社会で幅広く活躍していることもあって、幸いにも国内で高い評価を得ています。ただ、それに甘んじることなく、われわれ慶應義塾志木高等学校の教職員は、以下の点を教育目的・教育目標として掲げ、日々前進する存在でありたいと考えています。

本校の教育目的

本校の教育目的は福澤諭吉の建学の精神に基づいた、慶應義塾大学に進学する前段階としての高等普通教育を行うことにあるが、そのために、本校教員は日頃次の四つの教育目標に向かって努力している。

1 塾生としての誇りを持たせること
独立自尊の気風を養い、自主性のある、品格の高い、明るい塾生となる教育を行う。
2 基礎的な学問の習得
将来、社会の各分野で立派に活動するため、また本塾大学に進学する前段階として基礎的な学問を習得させ、学問・研究の必要性を知らせるとともに、自主的に学習するように指導する。特に大学一般教育課程に応じた学習指導に留意し、学力の全体的向上をはかる。
3 個性と能力をのばす教育
現在の生徒数による教育の長所を生かし、教員と生徒との人間的接触につとめながら個性と能力をのばす特色ある教育を行う。
4 健康を積極的に増進させること
ただ健康管理に留意するのみでなく、各人に適したスポーツに参加することによって積極的に健康を増進させる。

また本校は、成田空港から約90分、羽田空港から約70分、東京から約50分、池袋から約30分(いずれも電車を利用した場合)という場所に位置しており、その通学の便の良さと本校の教育への深い共感から、東京都内・埼玉県内はもとより、神奈川県や千葉県など、周辺の広い地域から生徒が通学しています。生徒の多くは、勉学はもちろんのこと、生徒会活動やクラブ活動にも積極的に参加し、収穫祭(学園祭)のような行事も担うなど、福澤諭吉が唱えた「独立自尊」の精神に倣い、生徒自治が根付いています。
さて、以上の諸点を踏まえて、本校の魅力を箇条的に挙げるとするならば、おおよそ次のようになるでしょう。

志木高10の魅力

  • 1.自由度・専門性の高い授業
  • 2.少人数教育
  • 3.慶應義塾の伝統
  • 4.慶應義塾大学との連携
  • 5.多彩なクラブ活動
  • 6.男子校だからこそ得られる固い友情
  • 7.卒業生とのつながり
  • 8.活発な生徒自治
  • 9.広大な敷地・豊かな自然
  • 10.落ち着いた環境・便利なアクセス

沿革

1858(安政5)年 福澤諭吉、蘭学塾(のちの慶應義塾)を創始
1947(昭和22)年度 松永安左ヱ門氏(1875-1971)寄贈の東邦産業研究所敷地・施設、慶應義塾への受け入れ決定
慶應義塾獣医畜産専門学校、志木へ移転
1948(昭和23)年度  慶應義塾農業高等学校設置・開校式
1957(昭和32)年度  農業高等学校を改組し慶應義塾志木高等学校発足
1963(昭和38)年度 1学年定員250人となる
1968(昭和43)年度 新校舎(現在の校舎)竣工
1972(昭和47)年度  制服自由化(夏服。翌年冬服も)
1988(昭和63)年度  慶應志木会(OB会)設立
1991(平成3)年度 語学課外講座(19言語)開講
1996(平成8)年度 慶應志木の森、植樹祭
1998(平成10)年度  開設50周年記念式典
2008(平成20)年度 開設60周年・慶應義塾創立150周年