刊行物

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慶應義塾志木高等学校研究紀要

慶應義塾志木高等学校研究紀要 第51輯 目次
伝統文化を取り入れた古典教育の試み
―お香文化と匂い袋調合の学び―
井之浦 茉里 1
国語総合と学術技芸
――〝禍〟中の芥川龍之介/志賀直哉/ベンヤミン――
小澤 純 11
離散から連続へ
―SIRモデルを題材として―
内村 朝樹 19
複数の言語を学ぶ意義 岡田 吉央 27
Student Global Leader Institute 2020 岡田 吉央
Edward Battley
43
収穫祭のオンライン開催に関する報告 井之浦 茉里 55
第8回教職員研修会実施報告(講師・鹿毛雅治氏) 宮橋 裕司 61
カリキュラム2022年度実施に向けて
少人数・適正規模教育の開始
カリキュラム
検討委員会
67
彙報(2019年度~2020年度)   77
瀬戸内地方への第三学年見学旅行の計画と実施
――二〇一四年度~二〇一九年度
原 浩史 120
「あづまくだり」までひとくだり
―<いのちの力>を蘇らせるために
中地 譲治 184

バックナンバー


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本校では、その教育活動の重要な一面として、しばしば学習の成果をレポートにまとめることが求められます。こうした成果をまとめ、優れたものを記録しておくために発刊されたのが、生徒の作品集『欅』です。

レポートに限らず、国語で取り組んだ文芸的な創作や、美術の作品のほか、自由投稿の論説文、コンテストに応募したエッセイ、さらには、志木の森ツアーの活動報告や、クラブ活動の戦績まで、本校生徒のさまざまな活動の記録を掲載し、毎年3月に刊行されています。

ケヤキについて〔創刊号より転載〕

毎年、十一月も半ばを過ぎて、一段と冷え込んだ朝など、校門沿いの歩道に落葉がたっぷりと積もっていることがある。フェンス沿いのケヤキの大木が冬支度を整えているのだ。足下に季節感を感じながら、その上を歩く時、何とも云えぬ昔懐かしい感触を楽しめる。今は綺麗に舗装した道路が当たり前だが、嘗ては何処も泥んこ道で、落葉が悪路を和らげて呉れた。...全文を表示

校内のケヤキは、校門脇の斜路の前、グラウンドの旧野火止用水べりにも、また、林の中にも、そのケヤケキ姿を見せて呉れている。ケヤキという名称は、ケヤカ、とか、ケヤケシ、つまり著しく目立つ、とか、上品で普通とは違っていると云う古語からきたらしい。成程、その姿は美しい。天に届けと上に伸びた枝は、何処までもすくすくと伸びて優美だ。本当はその姿が美しいだけではなく、木地の美しさにあるのではないだろうか。しかし、この説にはあの偉大な牧野富太郎先生は賛成ではないらしい。でも木肌の相が美しいことは間違いない。その上、殆ど狂いがなく、湿気にもよく耐え保存性が高いので、古くから使われ、その用途はとても広い。庭木、街路樹、盆栽は勿論のこと、その材が良質なので寺社の建築材として、また臼、杵、盆、漆器の木地、家具類、船舶等に用いられている。

浦和市北浦和から所沢市並木に至る全長十九・七キロメートルの日本一長いケヤキ並木を始め、各地に著名なケヤキ並木は多く、昔から旅人に憩いの場として日陰を提供していた。また、ケヤキの一枚板の座卓や衝立は貴重なものであった。本来、ケヤキは台湾、中国にもあるが、日本の代表的な広葉樹であり、特に関東地方に多く、稀に植林されているが、主として屋敷林や寺社林をつくり、薪炭の供給源として、雑木林をつくるナラやクヌギなどと共に、武蔵野の象徴と云っていい樹である。その高さは普通は二〇、三〇メートル位だが、五〇メートルにも及ぶ巨木もあり、天然記念物に指定されている、山形県東根市の大ケヤキをはじめ、各地に幾つか数えられる。校内のケヤキは果たして何メートル位あるだろうか。ケヤキは学名で言うと"Zelkova serrata Makino"で、属名Zelkovaはギリシャ又はコーカサスの地名であり、種名serrataはその葉をみれば一目瞭然。葉の縁に鋸歯が目立つので、鋸歯のある種ということを意味している。漢字では欅と書くが、漢名で欅はクルミ科のPterocarva stenoptera DC. (サワグル異属の仲間)のことで、全く別の植物であるが、古名では槻と言つたようだ。万葉集にも槻に関する歌が七首もある。

何れにしろ、ケヤキは他の樹と違って、その姿も用途も際立っているので、この文集も同じように際立って素晴らしいものであって欲しいと思う。
(建部勇之助)


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ことばと文化

本校には、学年の枠を超えて誰でも受講できる「語学課外講座」があります。
これは1991年9月から始まった本校独自のカリキュラムで、その目標は、

  1. 柔軟な発想と多角的な思考の能力を養うこと
  2. 旺盛な探究心を培うこと
  3. 積極的な自己表現力を育てること

にあり、世界各地の多数(発足当初19、現在24)の言語の学習を通じて視野を広げることに重点が置かれています。この講座の副読本として創刊され、現在も年に一度刊行されているのが『ことばと文化』です。語学講座の担当者や本校の専任教員が主に執筆にあたり、生徒全員に配布されています。

執筆者とそれぞれの言語との出会い、ことばの機能をめぐる種々の問題、ことばの背後にある人間の生活や歴史と文化など、さまざまな話題が縦横に取り上げられており、本書はさながら「ことば」をキーワードとした志木高版『学問のすゝめ』といった内容になっています。


四季

生徒向けに発行されている自然報告レポートです。年4回の季刊。
以下のサイトからバックナンバーを読むことができます。
四季(志木自然報告)

「緑豊かな...、自然に恵まれた...」という形容詞を冠されることの多い本校ですが、この「豊かな...、恵まれた...」という言葉は『何がどのくらいあるのか』を知って初めて意味を持ちます。本誌はその意味を持たせるために2002年に発刊されました。

以来、本校で見ることのできる動植物、気象・天文現象、本校を取り巻く地形・地質、同じく本校でリアルタイムに観測している地震・放射線量‥など、さまざまな話題を提供してきました。

そして、今年10周年の節目の年を迎えました。本誌は理科や国語科、社会科などの教科はもちろん、職員の方々ともコラボレーションしながら編集されています。それは既成の(特定の)教科枠にとらわれることなく自分を取り巻く空間(自然)を見つめるためです。そして時代を横目にこれからも多くの話題を提供し続けていくつもりです。(編集発行責任者・宮橋裕司)