イルカを使った料理

1. はじめに

我々は授業を通じて捕鯨問題に関する知識を深め、各々が調べたデータを持ち寄って簡単な討論会も行った。その中で、食に関する内容が印象的だった。クジラは給食として提供されているのに対して、同じ仲間であるはずのイルカの肉はクジラのそれと比べて見かける頻度がとても少ない。我々はそこに疑問を持ち、実際に日本でイルカ肉を入手するということが可能なのか?また、イルカ肉を牛肉や豚肉の代わりに料理して食べることはできるのか?という2点についてフィールドワークを行った。

2. 築地編

12月14日、築地にある鯨料理専門店「登美粋」に伺い、東京、特に築地市場でのイルカ肉の扱いについて聞いてみると「今では、ほとんどない。」ということだった。また、最近は特に減っているといことでもあった。ただ、クジラの肉は専門店だけあって料理として取り扱われており実際に、クジラ肉の刺身や、ユッケ、串カツ、からあげを食べたがどれもとてもおいしかった。刺身では赤身と脂肪分の多い部分の2パターンの味が楽しめた。どれも、魚肉と豚肉、鶏肉の中間のような味であった。

またここで、体長4ⅿを境に、大きいものからとれた肉をクジラ肉として、より小さいものをイルカ肉として扱うということを知った。クジラ肉として食べているものでも、実はイルカ肉である可能性もあるという。

体長の違いだけで、区別されるイルカ肉とクジラ肉その流通している量の差は大きいが、味はどうなのだろうか?ますます興味が深まった。

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3. 静岡編

我々は、築地でもう一つの興味深い情報を耳にした。それは、現在でも静岡県や和歌山県の一部地域ではイルカ肉が供給されているというのだ。たしかに授業で和歌山県の太地町でイルカ漁が行われていることは知っていたが、静岡でも行っているとは思いもしなかった。静岡駅周辺を中心に何か所かのスーパーマーケットに事前に電話をしてみると、全てのお店ではないが、一部のお店で定期的に販売されていることが確認できた。

そこで、12月22日イルカ肉を求めて静岡県に行くことにした。静岡駅に行く途中の早川駅にある、小田原魚市場を訪れたがイルカ肉は売られていなかった。東京から電車で4時間かけて静岡駅に到着し、2軒のスーパーに入ってみると、どちらのお店にもイルカ肉は売られていた。画像のように他の魚と同じように並んでいたのだ。800g程度を購入した。

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写真を見ればわかって頂けると思うが、どす黒い色をしている。これが、体内の鉄分が、酸化されて酸化鉄になっているということらしい。

4. 料理編

12月25日のクリスマス、我々はイルカ肉の料理を行うことにした。我々は3パターンの料理を作り、イルカ肉の味を確認することにした。だがその前に、血抜き作業を行う必要があった。まず肉を使いたい大きさにカットし、水に浸して洗う。最初は非常に血が多いため、すぐにボールの水が真っ赤になる。洗うこと約50分・・・・・・。これだけやると画像の用に黒かった肉は赤くなり、ほぼ牛肉と同じ見た目になる。

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その後、臭みをとるため生姜とともに茹でこぼした。湯に生姜を入れて沸騰させ、その中に血抜きしたイルカを入れて茹でる。このとき、大量のアクがでる。5分程茹でたら湯を捨てて肉を回収。↑画像のようにだいぶ小さくなる。今回は、野菜炒め・豚汁・味噌煮でこの作業を行った。(肉の臭みが非常に強いため、この作業は二回やってもいいかも)

お味噌汁(不味い)

  1. 味噌煮用つゆに輪切りの生姜を追加し、煮立たせる。
  2. 茹でこぼした肉、ささがきに切ってアク取りをしたごぼうを加え、落し蓋をして煮る。
  3. 10分程煮込んだら完成


私達の料理のスキルが未熟だったせいか、正直味噌煮はあまり美味しくなかった。臭み取りがあまいのかもしれないが、イルカ肉の臭みがきつかった。食べるのに苦労した......。ただ、もしかしたら味噌汁に生姜を入れたのが間違いだったのかもしれない。生姜を加えることで、イルカ肉の中に含まれる人体に有害な物質の分解を促進する狙いがあったが、不味くてはどうしようもない。

男は黙って焼肉

  1. 茹でこぼしをしないので血抜きを更に念入りに、1時間30分行った。
  2. 水気を取り焼く肉は完成。画像のように見た目はほぼ牛肉
  3. フライパンに油を入れ、ニンニクスライスが黄金色になるまで炒め、その後肉を焼いた。(そこそこアクが出る)
  4. 4枚の肉のうち2枚は画像のようにタレに浸した跡に焼いた。


まず、タレに浸さずに焼いた方は、やはり臭みが強すぎた。タレに浸した方はだいぶマシになっており、少々臭いが食べられた。

豚汁〈イルカ汁?〉

  1. 野菜を炒め、茹でこぼしした肉を入れる。
  2. 水を適量いれて野菜が柔らかくなるまで煮込む。本だしで味付けもする。
  3. 味噌を気持ち多めに加える→完成

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独特な臭みを持っており、班員は正直苦手な臭さであった。イルカ肉はだいぶ強く、汁全体にほんのりとイルカ肉の味が着いていた。かなり独特な味であったが、食べられないこともない。

生姜焼き風野菜炒め〈一番おいしかった〉

  1. 茹でこぼした肉に画像の用に生姜焼きのタレを染みこませる。
  2. 強火で野菜炒めて肉投入。さらに生姜焼きのタレを追加して少し濃いめの味付けにする。
  3. 全体に火がとおったら完成

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今回の料理の中で一番美味しかった。生姜焼きのタレを染みこませ、濃いめの味付けにすることでイルカ肉の臭みをほぼ消すことに成功。ご飯がすすむ味。皮と脂身も普通に食べられた。あらかじめタにつけておくことで、臭みをごまかせば美味しくたべられることがわかった。

料理まとめ

野菜炒め以外、どれもイルカ肉の独特な臭みを感じた。半端な臭み対策では臭みを取りきれない。イルカ肉全然ブレない。凄い。これが良さなのか?w

5. 終わりに

我々は、フィールドワークを通じてイルカ肉の入手は日本でも地域限定的ではあるものの可能であるということが確認できた。また、イルカ肉を使って料理をすることは、臭みを取ることとの戦いであるとうことが分かった。イルカ肉を豚肉牛肉の代わりとして料理することは簡単ではないと結論付けたい。