イルカ・クジラにまつわる映画紹介

最も古い映画

「海の野獣」(1926)監督 佐々木啓祐 主演 佐野周二
ここでは、この作品を鯨に関する最も古い映画とし紹介しようと思う。というのもこれ以前に関する映画の資料が国立近代美術館フィルムセンターにおいて見つからなかったためである。
主人公である鯛吉はある港町に、漁師になるためにやって来た。不慣れの土地の為、偶然バスで出会った静江に色々と世話になってしまった。静江は昔、福丸の息子と結婚したが上手くゆかず、今では高草丸の船長の海保に好意を寄せているのである。そして捕鯨船として福丸と高草丸は対立関係にあった。ある日高草丸の船長の海保が捕鯨に行ったところ大怪我をして帰ってきたのである。そこでライバル船でもある福丸に対して鯛吉は協力を求めようと奮闘する。

最も新しい映画

「プレシャス・ブルー  カリブ海・クジラの親子と出会う旅」(2014)
出演 二木あい
世界の海を素潜りで撮影し"人魚"と呼ばれるフリーダイバー、二木あいさん。動物たちを怖がらせず自然な姿を捉えるため、呼吸音や泡を出すボンベを使わない水中撮影にこだわり、世界で注目されている。この映画では、マッコウクジラが子育てをする楽園・ドミニカ国の海で、至近距離からその様子を撮影する二木さんの挑戦に密着。クジラが仲間たちにしかみせないありのままの姿を撮影しようとする二木さん。 透き通る紺碧の海の中をクジラの親子とともに泳ぎ、海の神秘に迫っていく。

おすすめの映画

1.白鯨

監督 ジョン・ヒューストン 主演 グレゴリー・ペック

02movie1.jpg

『白鯨』は1956年にアメリカで公開され、同年に日本でも公開された映画であり、1851年に発表された小説をもとにしている。19~20世紀前半は、世界各国で捕鯨が発展し、鯨油の生産を行っていた。今は欧米を中心に捕鯨に反対しているが、この頃クジラに対してどう考えていたのか、クジラはこの頃のアメリカ人にとってどのような存在だったのかを知るためにこの映画を選んだ。あらすじを簡単に紹介する。主人公イシュメイルが捕鯨船で雇ってもらえることになり、その船長エイハブはかつて白鯨に足を喰いちぎられ、その復讐に燃えている。エイハブは船員全員を引き連れて白鯨と戦うが、生き残ったのはイシュメイルただ一人だった、という話だ。やはり、当時は捕った鯨から油を取出し儲けを得ていて、特にほかに利用しているようには感じられなかった。この映画の面白く、奥の深いところは宗教的な背景があることだ。船長エイハブや、前半に登場する預言者エリヤは聖書に出てくる名前である。また、映画中で神とは何か、「白鯨」そのものは何なのかということについて考えられている。

2.プレシャス・ブルー  カリブ海・クジラの親子と出会う旅

02movie2.jpg

今まで自分たちは「ザ・コーブ」などの海外の映像作品を鑑賞してきたわけだが、日本人が作った、イルカやクジラにまつわる映像作品はみたことがなかったのでこの映画を選んだ。

この映画の魅力は、捕鯨国の国民である日本人のダイバーが、野生のクジラと仲良くなり、これまで映像に収められなかったクジラの動きを至近距離で撮っているところだ。自分は、反捕鯨国の意見は感情論がほとんどだと思っていたが、このように人間と仲良くなることで新しい発見につながるということを、映画を通じて知った。ましてや、その第一線にいるのが日本人ということに驚いた。

映画の中で、一番印象に残ったことは、ダイバーの二木さんが、なぜ酸素ボンベなどを使わないかという質問に対して、「同じ哺乳類なので、同じように陸で空気を吸って同じように海で泳ぐことができなければ、仲良くなれない」と答えていたことだ。二木さんは水中に6分間いられるそうだが、観察したクジラを自分なりの観点でノートにひたすら書く姿はそれ以上に迫力があった。

今までにない、新しいクジラの生き方がわかる映画であり、人間との関係の可能性を知ることができるドキュメンタリーだと思うので、ぜひ皆にみてほしい。