7月18日(土)~8月3日(月)の2週間、2年生1名、3年生2名の計3名の生徒が、Punahou高校で行われたSGLI(Student Global Leadership Institute、以下SGLI)に初めて参加し、世界中の高校生と国際交流を行いました。

 初日の夕方、Punahou高校生、Castle Highの生徒の案内で、ニュージーランドから来た高校生と共に、ワイキキを散策しました。ワイキキの海岸に沈む綺麗な夕陽を見たり、ショッピングモールの広間等で行われるフラダンスのショーを見学したりして、3人の志木高生は、ワイキキを堪能していました。

 翌19日(日)から宿泊するハワイ大学の学生寮に移動する前に、パールハーバー(真珠湾)を見学しました。日本が奇襲攻撃した場所を目の当たりにして、志木高生は、太平洋戦争の勃発に関して色々感じたようでした。ハワイ大学の学生寮では、3人の志木高生はそれぞれルームメイトと対面し、その日の夕食から一緒に、ハワイ大学のカフェテリアで食事をするようになりました。

 夕食後、SGLIをリードするチャイ先生によるオリエンテーションが開かれました。そこでチャイ先生は、高校生達の相談役となるアドバイザー達を紹介した後、SGLI期間中に生徒達が守るべき規則を話していました。初めは緊張気味の顔をしていた生徒達もその後、行われたゲームを通じて、少しずつ打ち解けられるようになったようです。

 20日(月)から、SGLIのプログラムが本格的にスタートしました。ハワイ語の歌、E Ala Eのレッスンや、Punahou高校のキャンパスツアー、Equity Gameが行われました。Equity Gameには、様々なバリエーションがあり、これは21日(火)以降も行われました。このゲームを通じて、生徒達は、Equityについて様々な面から考えるようになりました。

 21日(火)から、著名人や、SGLIを体験したOBを交えてEquityに関する座談会や講演会が行われました。セッションの最後には必ず質疑応答の時間が用意されていたのですが、 最初のうちは何も言えなかった志木高生も1週目の後半位から、少しずつ自分の意見や質問を口にすることが出来るようになっていきました。自分の意見や質問を口にすることが出来るようになってからは更に、SGLIに参加している生徒達との友情が深まっていったようです。24日(金)に行われたLuauや、25日(土)に行われたカラオケパーティで、志木高生の3人はSGLIに参加している生徒達との交流を積極的に行っていました。

 2週目に入ってからは、29日(水)のタレントショーや、31日(金)のプレゼンテーションの準備が本格化しました。準備は図書館や、寮の廊下など様々な場所で行われました。各高校には、それぞれメンター(相談にのったり、アドヴァイスをくれたりする人。Punahou出身の社会人が多かった)が用意されていて、生徒達は、メンターとアポをとって、協力しあいながら、プレゼンテーションの準備をすることが求められます。プレゼンテーションの長さは7分で、Equityに関することで自分達の学校生活において出来ることを発表することが求められます。生徒達は、メンターとの英語のメールを通じて、アポの取り方などを教わった後は、何度も連絡を取りながら、プレゼンテーションの準備に取り組んでいました。

 タレントショーや、プレゼンテーションの準備に並行して、フィッシュポンドでマングローブの木を切ったりするエコ活動や、広大な農園で大根の種まきなど、自然環境を視野に入れた活動も行われました。きつい作業ではありましたが、生徒達は頑張って取り組んでいました。

 29日(水)の夜、タレントショーがPunahou高校の講堂で行われました。これに備えて、志木高生は、カフェテリアでもらった熱湯を自分達で用意した水筒に入れ、日本から持ってきたお茶の道具を寮からPunahou高校まで歩いて運びました。タレントショーでは、お茶の作法を英語で説明して実践した後、SGLIに参加している生徒に体験してもらっていました。しっかり準備をしていたこともあり、お茶に関する高校生(日本人以外)の理解も深まったようです。

 30日(木)の午前中、プレゼンテーションのリハーサルが行われました。前日のタレントショーの準備に追われていたため、リハーサルは、準備不足のまま臨むことになってしまいました。その為、リハーサルで志木高生は、アドバイザー達からかなり厳しいコメントをもらうこととなりましたが、頂いたコメントを参考にして、30日(木)の夜は遅くまでプレゼンテーションの準備に時間を費やしていました。

 志木高生のプレゼンテーションは、31日(金)の午後に行われました。彼らの順番は遅かったので、前日の準備からくる寝不足と出番前の緊張感と戦いながら、順番まで他の高校生のプレゼンテーションを聞いていました。他の高校生のプレゼンテーションを聞いているうちに、志木高生3人はプレゼンテーションのやり方について一つの結論を見出しました。普段よりも意識してゆっくり、はっきりと聴衆を見ながら、しゃべるべきだと。このことを舞台に上がる前にさっと確認した後、3人はプレゼンテーションを始めました。3人共、舞台であがることなくプレゼンテーションをやり遂げ、盛大な拍手を受けました。

 31日(金)の夕方、ワイキキのビーチでピクニックが行われました。3人共、SGLIで一緒の時間を過ごした仲間と、楽しかったことときつかったことが混ざった2週間を振り返っていました。

 1日(土)の午前、SGLIの仲間と別れた後、ホテルへ移りました。宿へチェックインした後は、家族へのおみやげを購入したりして過ごしました。2日(日)の朝食まで皆で食事を共にしたのですが、レストランで3人共、この2週間で自然と英語が口に出てくることに気づき、SGLIの成果を実感していました。そしてプレゼンテーションで言ったことをどのようにして志木高で実行に移していくかを話し合いながら、帰国の途についたのでした。

SGLI参加者の声

感電

 留学で海外に行った日本人学生は帰国後大体このような作文で「自分の英語力のなさを感じた」と綴っている気がするが、私もその一人となった。今回のSGLI参加校の中で英語を母語とする国はアメリカとニュージーランド、イギリスだけ。他のヨーロッパの国の人はそこそこ話せても、韓国や中国の人はそんなに差はないのかと思っていたが、実際は全然違った。デンマーク人もスウェーデン人も、中国人も韓国人もみんなもう母語のように流暢に英語を話せるのだ。そして課題の議論では積極的に発言し、また空き時間にはアメリカ人などを交えて宗教や人種などの小難しい内容について雑談する。私は聞いているのが精一杯で、発言するほどの余裕はほぼなかった。日本での英語の成績は悪くはない方だが、そんなものは全く通用しない。今まで風土や古いアメリカ車に憧れ安易に「アメリカに住みたい」なんて思っていたが、それはかなり難しいとわかった。聞き取り力にせよ発話力にせよ、いくら勉強してもどうにもならないのではないかと思うほどのとてつもなく大きな壁を感じた。これはなかなか衝撃的だった。

 とはいえ、ハワイでの二週間はとても楽しかった。登下校の時間などには一対一でのゆっくりした会話で多くの人と仲良くなれたし、ルームメイトのおかげでアメリカ人やヨーロッパ人系のグループにも入れた。放課後はみんなで海や山、買い物などと毎日遊びに行くなど日本では考えられないようなことを多く経験できた。せっかくできたこの友人たちと関係を保ち、できればもっと仲良くなりたいところであるが、ネットの音声通話などの荒い音声だと何を言っているのかより分からなくなるのが現在の私の英語力である。結局は英語に尽きる。

 この短くも刺激的だった二週間を私は感電のようだったと表現する。 最後に一つ面白い話をしておくと、このSGLI以降私は時折英語で夢を見るようになったということ。肌の色と共にこれが私の身に起こった最大の変化だと思う。

(2年 永井凌君)