2016年12月16日、通算121回目となる「志木演説会」が行われました。今回は西澤直子氏(慶應義塾大学福澤研究センター教授)をお招きし、「福澤諭吉における人間交際と家族」という演題でご講演いただきました。

―家族とは、結婚とは、恋愛とは、幸福とは、社会とは―。

現代を生きるわれわれは、こうした問いを人生の大きなテーマとして抱えています。人間の永遠のテーマともいえるこれらの問題について、真正面から向き合い、堂々と持論を打ち立てていたのが福澤先生でした。現在からはすっかり「遠くなりにけり」という感のある明治時代にあって、その考え方・価値観は、いまだ古臭さを感じさせず、むしろ現代にも通ずる、未来永劫的な人間の在るべき姿が見事に示されています。

福澤先生のこうした不変的な道徳観・倫理観を、西澤氏は多くの資料を用いながら、わかりやすく丁寧に説かれました。慶應義塾で学ぶ志木高生にとって、福澤先生の思想に触れる機会はこれまでも多くありましたが、今回の講演により、いままで抱いていた「福澤先生像」がいっそう魅力的なものとなり、揺るぎない存在として再認識されるものとなりました。 

「世の中に最も大切なるものは人と人との交り付合なり。是即ち一の学問なり」(「豊前豊後道普請の説」より) 

西澤氏には、上記のことばをはじめ、福澤先生の数々の至言を紹介していただきました。それらのことばと志木高生各人が今後どう向き合い、どう自分に生かしていくかが課題となっていくでしょう。

この場をお借りして、西澤氏へ改めて感謝を申し上げます。 

講演終了後、第2部として3年選択授業「芸術A」の発表が行われました。志木高の年末の風物詩としていまやすっかり定着した合唱の発表です。今回も授業で取り組んできたことが存分に発揮され、『糸』『ごびらっふの独白』『慶應義塾塾歌』の3曲が堂々と披露されました。男声合唱らしいその力強さに、聴いていた全校生徒や教員も大きな拍手で応えていました。

最後に、髙橋校長よりマラソン大会の表彰、締めくくりのあいさつがあり、第121回志木演説会が無事終演となりました。次回は2017年7月を予定しています。

 

【慶應義塾大学三田キャンパス西校舎ホールにて】