今年も薇閣雙語高級中学(以下Wego)を9月5日(火)~9月11日(月)の日程で生徒10名、教員3名が訪問しました。

 7月に台湾の生徒たちを本校に受け入れて以来の再会となりましたが、生徒たちはSNSなどで連絡を取り合っていたようで、現地の学校やホストファミリーの方々にもスムーズに受け入れて頂きました。初日の夜にはとても盛大な歓迎パーティーを催して頂き、生徒たちも感激したことでしょう。

 志木高生たちはWegoのハイレベルな授業のいくつかに参加しました。また、Wegoが所有する山荘に一泊して様々な野外活動をWegoの生徒たちと共に行いました。週末はそれぞれのホストファミリーに台湾の名所を案内してもらい、心のこもったもてなしを受けたようです。この様な経験をつうじて、同じアジアの一員であることを、お互いの文化の違いを受け入れながら認識し合っていました。

 台湾の公用語は中国語ですが、Wegoの生徒たちはとても流暢な英語を話します。また彼らのグローバル志向は非常に高く、多くの生徒は卒業後海外の大学へ進学します。とてもフレンドリーな雰囲気の中でWegoの生徒から刺激を受け、参加した志木高生にとってはとても幸せな国際交流の第一歩を踏み出すことが出来たことでしょう。

 最後に、東京と比べると台北の最高気温は大分高かったのですが、一人も体調を崩す生徒が出ることなく、無事に交流を終えることができたのも、Wegoのスタッフやホストファミリーの方々の手厚いケアのおかげであったことを、感謝の意を込めてお伝えしたいと思います。

台湾との国際交流で得たもの

 僕にとってホームステイをするということは初めての経験だった。しかも僕は他人の家に泊まるのも初めてなのだ。まさか初めてが外国でだとは。そのため台湾に行くまでは緊張と不安が大きかった。いや、緊張と不安しかなかったといっても過言ではない。相手のホストファミリーに溶け込めるだろうか? ホームシックになるのではないか? しかしそんな不安は初日に消え、ホストファミリーに溶け込むことができた。ホストファミリーは非常にフレンドリーで、家族の一員として僕を迎えてくれた。さらに夜は僕とホストブラザーとその弟で同じ部屋に一緒に寝た。僕は一緒に寝ることにより心の距離が縮まって、本当に家族になった気がした。

 次の日からWego Private Schoolに行った。フレンドリーな生徒が多く、みんな英語が非常にうまい。英語の授業に参加したが、見せられた写真から即興で物語を作って発表するなど、授業のレベルが高すぎ、全く歯が立たなかった。あの時ほど英語もっとやっておけば、と痛感したことはない。できれば、英語力を上げてもう一度リベンジしたいと思っている。3日目と4日目はWegoのマウンテンプログラムに参加した。マウンテンプログラムでは、様々なアクティビティをWegoの生徒と一緒に行った。ここでも何人ものWegoの生徒がフレンドリーに話しかけてくれ楽しかった。

 マウンテンプログラムから帰ってきたあと、ホストブラザーやその友人と買い物や食事に行った。それが本当に楽しかった。僕は観光名所に行くより、このようにそこに住む人のリアルな暮らしに触れることの方が好きだ。台北の街は、建物や街並みが少し昭和っぽくて、歩いているとどこか懐かしい感じがする。また台北の街の人はどこか温かく、今の東京の都心の人には足りない何かがあったように感じた。台北の街には、食べ物屋が沢山あり、特にナイトマーケットは最高だ。グァバやマンゴーなどの台湾のフルーツがとても美味しかった。だがこの辺から、だんだんとホームステイの終わりが見えてきてしまい、楽しさと悲しさが混じりなんとも言えない気分だった。

 5日目と6日目は、ホストファミリーデーになっており、僕のホストファミリーと他のホストファミリーで、映画『千と千尋の神隠し』のモデルとなった九份や美しい夕日で有名な淡水に行った。ホストファミリーから、色々と食べ物を勧められたのだが、僕の胃腸が追いつかなくなってしまい、結局後半はフルーツばかり食べてしまっていた。6日目の最後の夜は、ホストファミリーと家で写真を撮り、思い出作りをした。明日には日本に帰らなくてはならないと考えると、本当に別れが悲しかった。人生で初めて、本気で時間が止まったらな、と思った。

 そしてついにホームステイでの最後の朝。一緒に朝御飯を食べていると、ホストファミリーが全員で書いた手紙を渡してくれて思わず僕は泣いてしまった。空港にもホストファミリーが見送りに来てくれて、一週間寝食を共にしたがこれから暫く会えなくなると思い、ものすごく悲しかった。相手のホストファミリーやWegoの生徒も別れを悲しんでいた。三田キャンパスでの対面式で初めて会った時は、志木高生同士も、もちろん台湾の生徒ともぎこちなく、まさかこんなにまで仲良くなるとは思わなかった。またこのプログラムを通して感じたのが、英語が間違っていても積極的に話しかけないとダメということだ。せっかくの短い時間なので、色んな人と話さないと絶対に後悔することになる。実際、僕自身もう少し話せたかなと後悔している。

 この2週間は今までの人生の中で最も充実した時間だった。もし台湾に観光で行ったり、学校の修学旅行で行ったりしても、この体験は味わえないだろう。ホームステイして寝食を共にしてこそ、このような充実した時間を体験できる。この交換留学プログラムを勧められたときは、こんなことになるなんて想像できなかった。絶対に想像を越える最高の時間と出会いが待っているので、是非もっと多くの人が台湾の交換留学プログラムに参加してほしい。最後に、受験勉強で忙しい多くの高校生と違い、志木高生は受験がないためこのようなことをするチャンスがある。僕は本当にラッキーだと思う。高校を卒業したら必ずまた台湾に帰りたい。

(2年 堀永尚君)