2022年7月14日(木)、三田キャンパス西校舎ホールにて、第132回志木演説会が開催されました。新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年度・2021年度の2年間は、本校体育館での開催となりました。今回は、折しも第7波の兆候が見え始めた時期ではありましたが、基本的な感染対策に留意しながら、実に2年半ぶりに本来の形で開催することができました。

 今回は、慶應義塾大学法学部教授の河野武司氏を講師にお迎えし、「代議制民主主義の機能不全とカウンター・デモクラシー」という演題でご講演いただきました。

 河野氏は、代議制民主主義が機能不全となっている理由と解決策について、わかりやすく説明してくださいました。投票率の低さの問題、政権交代が実現しづらい現在の日本政治の問題、改憲論議の問題、政治や選挙の報道をめぐるメディアの論調の問題など、実に多くの具体例を挙げながら、現在の日本の政治や選挙の問題点についてご説明くださいました。その上で、抗議デモや非政府組織の活動など、選挙以外の方法によって、国家権力を監視し批判するカウンター・デモクラシー(対抗デモクラシー)についてご説明くださいました。

 日本国憲法とは、国家権力がしてはならないことを、主権者である国民が規定したわが国の最高法規です。そして、メディアの本来の役割は、その国家権力を批判することです。その最も重要な核心の指摘は、生徒たちの心に深く残ったことでしょう。

 講演後の質疑応答においても、投票行動、政党政治、政教分離などについて、多くの生徒から質問が寄せられました。河野氏は、その一つひとつに丁寧に答えてくださいました。

 今回の志木演説会は、7月10日(日)の第26回参議院選挙の直後の開催となりました。初めて国政選挙の投票を経験した生徒も多くいたことでしょう。生徒たちにとっては、政治や選挙というものを自らの生活や人生と密接に結びついたものとして実感できる貴重な機会となりました。

 次回の第133回志木演説会は2022年12月を予定しています。