9月27日(火)から9月30日(金)まで、3泊4日で東北地方を訪れました。感染予防に十分努めながら、宿泊を伴う見学旅行を3年ぶりに実施することができました。

 今年度は、新幹線を一ノ関駅で降りて花巻・南三陸・松島・仙台・山寺を巡るコース(1班・AEF組)と、山形駅を降りて山寺から入る逆コース(2班・BCD組)の二つに分けて実施しました。以下、2班を中心に報告します。

 山形駅を降りた2班はバスに乗り換え山寺へ。麓で腹ごしらえをした後、立石寺(山寺)に入山。1,000段を超える石段を含む山道を登り、断崖に突き出した五大堂に上がりました。ここからの景色は麓に向かう幾本もの谷筋と、その先にある小さな街がジオラマのように見えました。下山の途中には小雨が降り、熱った体に雨がしみ入りクールダウンできました。このあと、山形城跡、山形美術館を見学し仙台市内に宿泊しました。

 2日目はバスで松島に向かい昼食をはさみながら自主研修を行いました。ただし昼食はクラスごとに指定された場所に集まり、いわゆるスクール形式で食事をしました。自主研修では瑞巌寺、五大堂、福浦島、あるいは周辺に足を延ばす者など、各々の計画に沿って行動しました。午後2時半、松島港に集合し松島湾遊覧船に乗りました。クルーズの後半は語り部の方による津波被害のお話がありました。報道されなかった生々しい話に、生徒全員がしっかりとそれを受け止めようとしていました。
 2日目の夜は、1班と2班が南三陸で合流し同じホテルに宿泊しました。夕食後、選択科目社会Cの履修者は、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)で被災した大川小学校児童遺族の佐藤和隆さんの講演を聞きました。講演後も佐藤さんを囲み質問する熱心な生徒も多くいました。

 3日目、南三陸は天候も良く志津川湾は穏やかな凪ぎでした。バスで戸倉漁港に行き、10人くらいずつに分かれて漁船に乗りました。漁師さんの案内で、湾内の牡蠣の養殖棚や銀鮭の養殖場を巡りました。牡蠣棚では棚を上げ、牡蠣をいくつか取り、殻を剥き、生きた牡蠣を見せてもらいました。おそらく初めて見るそれを興味深く観察していました。陸に上がり、志津川湾の生態系や、持続可能な漁業の実践などの講義を受けました。昼食後、南三陸サンサン商店街、復興記念公園を訪ね、気仙沼に移動し東日本大震災遺構・伝承館をガイドの方の案内で見学しました。津波の大きさを肌で感じ、理解を深めた一日となりました。

 最終日は花巻で宮沢賢治と高村光太郎をテーマに、両氏の記念館、「雨ニモマケズ」詩碑、高村山荘を訪ねました。岩手の広大な土地に生きた賢治と、戦中戦後に花巻で過ごした高村光太郎が生きた地を訪ね、教室で学習した両氏の作品への理解を一層深められたことでしょう。午後は中尊寺を参拝、金色堂を拝観し、帰途につきました。

 現3年生は入学してはじめて宿泊を伴う旅行となりました。食事は黙食、風呂は黙浴、ほとんどの時間はマスク着用と、感染予防のための制限が多くありました。それを守ってくれた結果、病気になる生徒は最後まで一人もいませんでした。そんな中でもカメラを向けると、いつも生徒は楽しそうでした。