このたび、2025年度の2学年の牛山悠希君、海老原悠希君、岡本憲眞君、菅家君、篠島君、永岡君、林君、藤野君、松田聡佑君、森谷君の短歌が、第23回斎藤茂吉ジュニア短歌コンクールで入選いたしました(高校生部門の応募2896首のうちの84首が入選)。加えて、松田聡佑君は優秀作品にも選出されました(高校生部門2896首のうちの22首が優秀賞)。
齋藤茂吉は1884年に山形県に生まれ、第一歌集「赤光」や歌誌「アララギ」の編集など、数々の功績を残しました。齋藤茂吉ジュニア短歌コンクールは、感性をことばで表すことを大切にし、茂吉没後50年の平成15年 (2003年)から開催されている歴史のあるコンクールです。今年度は、小学校43校(団体)・1500首、中学校46校(団体)・2541首、高等学校46校(団体)・2896首、合計135校(団体)・6937首の作品が応募されました。
審査では、山形県歌人クラブ所属の主要歌人によって第一次審査が行われ、小中高の全学校種合計で入選200首が選考されました(小学校43首、中学校73首、高等学校84首)。その後、田村元 (歌人)、布宮雅昭 (歌人)・結城千賀子 (歌人)各氏によって第二次・最終選考が行われ、優秀賞54首(小学校12首、中学校20首、高等学校22首)、さらにその中から最優秀賞6首(各学校種2首ずつ)が選ばれました。
2025年度2学年文学国語では、短歌を含めた定型詩を授業で扱っており、普段から定型で想いを表す言語活動に取り組んでいます。2025年度は4月から学年末まで通して短歌の創作や鑑賞を行いました。自身で歌を作るだけでなく、その歌を生徒間で互いに見せあいながら切磋琢磨していく様子が印象的でした。加えて2025年6月には、本校卒業生の福山ろか先生(歌人)に講演していただき、生徒たちは短歌の作り方や日常を切り取る感覚について、多くの学びを得たようでした。
今回のコンクールでは、特定のテーマは設けられていませんでした。そのような中で、高校生ならではの悩みや、進級や卒業、そしてそこから生まれる出会いや別れなど、様々な出来事に対する想いを自由な発想で表現していたと思われます。生徒たちが一年間学んできた成果をいかんなく発揮してくれました。今後も日常の感情や想いを言葉で表す試みを続けていき、言葉で表すことの面白さを追求してくれることを期待しています。
受賞者諸君の短歌は、こちらからもご覧いただけます。
なお、2025年度3学年についても受賞者がおりますので、そちらは過去の記事をご覧ください。
以下、受賞者の写真とコメントの一部です。
松田聡佑君(優秀賞)
「イヤホンの充電切れた夕間暮れ信号の赤やけに長くて」
コメント:この度は優秀賞に選んでいただき、光栄に思います。特別な出来事ではなく、日常のささやかな一場面を詠んだ歌に目を向けていただけたことで、身近な出来事の中にも表現する価値があるのだと感じました。これからは日々の中にある小さな気づきを大切にしていきたいと思います。最後に、このような機会を与えてくださった皆様に感謝いたします。
牛山悠希君(入選)
「かきくけこずっと母音がついたままそろそろ自立し旅立たなければ」
コメント:まさか入選するとは思っておらず、大変嬉しく思っております。親元から自立したくてもなお離れきれない未熟な高校生の葛藤を、子音と母音の関係に重ねて詠みました。短い言葉の中に多彩な思いを込めることのできる短歌の魅力を、これからも多くの人に伝えていきたいです。
海老原悠希君(入選)
「冬枯れの街に差し込む陽だまりは誰かの椅子を温めており」
コメント:この度は選んでいただき、驚きと嬉しさを感じています。冬の街を歩いている時、空っぽのベンチを照らす陽光が、まるで見えない誰かを温めているように見えて、その優しさをそのまま言葉にしました。自分の感性が形になり、賞という形で認めていただけたことは大きな自信になります。本当にありがとうございます。
岡本憲眞君(入選)
「足音が母に似てきた妹の靴はまだ子ども明日はかけっこ」
コメント:私には4歳年の離れた、仲の良い妹がいます。私の家は三階建てで、二階にリビングがあるのですが、幼いころは、誰が階段を上る音か、当てる遊びをよく彼女としていました。階段の足音で分かる、妹の幼い足取り。しかし、最近は母と間違えることも多くなりました。素直で無邪気な面を残しながら、静かに成長する妹を思いながら、この短歌を創作しました。今回このような賞をいただき、大変光栄です。ご指導くださった先生方に感謝します。
菅家君(入選)
「声援と舵手の鼓舞聞き艇飛ばすエンジンを積む人でありたい」
コメント:今回斎藤茂吉ジュニア短歌コンクールに選ばれたことを光栄に思います。自分は端艇部(ボート部)に所属しており、熱心に部活に参加してきました。今回の短歌はボートにおける舵手付きクォドルプル(4人の漕手と1人の舵手でタイムを競う種目)に対する想いを綴ったものです。自分のこれからの部活に対する決意のようなものを、端的に書いてみました。これからも機会があれば、短歌を作る楽しさを忘れず、短歌を作ってみたいです。
篠島君(入選)
「やらねばと思うたびまた遠ざけて開く課題に凍りつく冬」
コメント:冬休み最終日、先延ばしにした課題に追われていたその時の気持ちをそのまま歌にしました。短歌を作る中で、自身の気持ちを手軽に三十一文字に込め、共有することのできる短歌の素晴らしさに気づくことができました。今回の受賞を励みにこれからも言葉に向き合って行きたいと思います。
永岡君(入選)
「トンネルで途切れるWi-Fi手が余るふと目を閉じる理由もなしに」
コメント:二年生の文学国語の授業では担当の先生が通常の文学の講義に加えて、短歌に触れる時間を設けてくださいました。その集大成として作成した短歌が今回入賞できたことを大変光栄に感じております。今後、日常的に短歌に触れていくことは難しいかもしれませんが、時間の許す限り短歌作品と向き合う時間も作っていければと思います。
林君(入選)
「路地裏へ気が向くほうに歩きだすガイドマップに載らない景色」
コメント:海辺の街をガイドマップも見ずに歩いていた時、偶然、海岸線が一望できる景色を見つけました。地図アプリに保存しようとしたらその道が載っておらず、自分だけの景色を見つけたような感動を詠んだ一首です。選んでいただきありがとうございます。
藤野君(入選)
「SNSうまく生きてるふりの技一番盛れる角度探して」
コメント:この度は入賞することができ、大変嬉しく思います。2年生の1年間、授業の中で短歌を作り続けてきました。最初は言葉に気持ちを込めることが難しく感じましたが、短歌を通して表現する楽しさや日本語の奥深さを知ることができました。改めて、ご指導いただいた国語科の先生方、そして特別講師としてご講演くださった福山ろかさんに心より御礼申し上げます。
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