7月3日(水)に1年生が国立劇場主催の歌舞伎鑑賞教室(於・国立劇場大劇場)に行ってきました。

鑑賞教室の構成は、『解説 歌舞伎のみかた』と『芦屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)―葛の葉―』です。解説は中村萬太郎とマスコットキャラクター黒子ちゃんによって行われ、セリ(舞台の床の一部をくりぬき、その部分を上下に動かすことができる舞台機構)や廻り舞台などの大がかりな舞台装置が動くと、生徒たちから思わず「おおっ!」という歓声があがりました。

『芦屋道満大内鑑』は、陰陽師安倍晴明の母が狐だったという伝説を取り入れた作品で、今回鑑賞したのはその一部、通称「葛の葉」と呼ばれる部分です。「葛の葉」には、清明の母、葛の葉の正体が狐であることが露見し、狐が清明父子のもとを去り信田の森へ帰っていく場面が描かれています。主演は、塾員(慶應義塾大学卒業生)の5代目中村時蔵丈。見どころは、狐と人間の女性を一人二役で演じ分ける役者の早替りや、葛の葉が障子に和歌を書き付ける際の曲書き(左手で書いたり、鏡に写したように左右逆転させた文字を書いたり、筆を口にくわえて書いたりすること)で、生徒たちはこれらの演出に感嘆していました。

歌舞伎を初めて鑑賞する生徒も多かったのですが、「機会があればもう一度見てみたい」「伝統芸能ということで構えていたが、思ったよりも楽しかった」などの声があり、この鑑賞教室は歌舞伎に親しむよいきっかけになりました。

生徒の感想

  • 僕が一番注目して見ていた部分は女形の役者の歩き方だった。女形については事前学習でビデオを見ていたので、どんな風に歩くのかは知っていたが、実際にひざがしらをつけてなで肩にしていたので本当にこんなつらいことを数時間も続けているのかと驚いた。そして長唄や三味線を演奏する人や黒子など、役者だけでなく様々な人の構成で成り立っているのだと思い、歌舞伎はある意味チームプレーだと思った。
  • あの大きな「セリ」などの舞台装置が江戸時代には、人力で動かされていたと思うと、なかなかすごいことだと感じた。実際に生で見ると舞台装置は規模が大きくて驚いた。今回の鑑賞で、何事も生で見ると様々な発見があるということを学んだ。
  • 生まれて初めて歌舞伎を見て、一番印象に残ったのは、歌舞伎役者の目力だ。ただ立っているシーンでも、緩めることがなくてすごいと思った。そんな迫力ある表情を作るために、やはり独特な化粧法が効果を発揮しているのではないかと考えた。今回の演目では、目の周りに赤などの色を使うことで表情を印象づけていた。