今年も志木の森ツアー2014夏(7/30~8/2)が無事終了しました。今回の森での作業は調査が中心でした。

shikimori06.jpg慶應志木の森・深山には4つのエリアに4本ずつ印をつけた木があります。生徒たちはそれぞれの木の高さや太さを分担して測定しました。木の高さの測定は少し難儀しました。この測定には長さ1mずつ伸びる棒を使うのですが、木が高くてうまく測れません。おおよその見当はつけたのですが、念のために三角関数を使った測量も行いました。木から少し離れて立ち、そこから木までの水平距離と、木のてっぺんまでの角度を測るのです。そして水平方向と木のなす角がほぼ直角であることから、計算で木の高さを求めるわけです。まさかこんなところで数学を使うとは...。しかしスマートフォンを横向きにすると関数電卓機能が使えるとのこと...あっという間に木の高さを計算してしまいました。そしておおよその見立てと計算値が同じであることを確認しました。

慶應志木の森・里山は雑木林です。ここでは単位区画の植生調査、いわゆるプロット調査を行っています。最近、森では野生の鹿が増えており木々の新芽を食べてしまいます。そこで里山の一部に鹿よけの柵をして保護しています。今回の調査で、保護柵の内と外では、目で見てわかるほど木々の成長具合に差があることがわかりました。柵の内では、木が成長していて、どこに印をつけたかわからないほどである一方で、柵の外では、鹿に食べ荒らされた結果、印をつけた木がすぐに見つかるといった具合です。

志木の森ツアーは森林調査だけではありません。噺野の川歩きは森から湧きだした水が夏の木々の下を流れ、そこをジャブジャブ歩いていきます。宮川でのカヌーは川面を伝わる少しだけ涼しい風にあたりながらゆっくり漕ぎます。上流に行くと水は澄み、泳ぐ魚が見えます。(こんなところにも50cmを超えるブラックバスがいました。)上流の開けた所でしばし休憩しましたが、元気な生徒の中には高さ5m以上の岩の上から川に飛び込んでいる者もいました。いずれも都会の学校では決して経験できないことです。

夜は飯盒炊爨、バーベキュー。当日仕留めたイノシシの肉6.5kgをいただき、29合のご飯とともに、生徒20名であっという間にたいらげました。最後の夜はキャンプファイヤー。最終日は伊勢神宮参拝と今回も盛りだくさんの内容でした。

最後に意外なことを一つ。

shikimori14.jpg今回、映画「Wood Job」を見るために津市にある映画館に行きました。Wood Jobは林業の現実を描いた作品で、今年の5月から全国ロードショーしていましたが、もうとっくに終わっています。と思いきや、映画の舞台になった三重県の、津の映画館でのみ8/7まで一日一回だけ上映していることがわかり、なんと今回のツアーの参加者の誰もがこの映画を見ていない(私も含めて)ということで、急きょ観に行きました。

今回のツアーの途中では、この映画に出演している主演の染谷将太さんや伊藤英明さんが伐採した木を実際に見たり、撮影のときの苦労話などを聞いたりすることができ、とても印象に残るものとなりました。ちなみに、街に出かけるのは、20年近く実施している志木の森ツアーで初のことだそうです。