2017年12月18日(月)、慶應義塾大学三田キャンパス西校舎ホールにおいて、第123回志木演説会が開催されました。

 今回は、樋口美雄氏(慶應義塾大学商学部教授)を講師にお迎えして「これからの「働くということ、大学に行くということ」」という演題でご講演いただきました。

 講演では、まず日本社会を取り巻く環境の変化についてお話がありました。日本的経営において終身雇用制・年功序列制賃金・企業別労働組合の3つが「三種の神器」とされていた時代には、どのような仕事をするかよりも、どの会社に入社するかの方が重要でした。しかし、現在では、① グローバル化の進展、② IoT・AI・ロボット・ビッグデータなどの技術革新、③ 長寿化にともなう、学びながら仕事をすることの重要性の拡大、といった環境の変化にともない、「働き方」改革ということが起きています。そのため、学生時代にも、どのような仕事をしたいのか、そのためにはどのような能力を身に着ければよいかを考えていく必要が高まっています。
 大学での学習については、次のようなお話がありました。能力には「認知能力」と「非認知能力」の2つがあります。認知能力とは、IQや知識・学力等、スコアとして表しやすい能力や職業的専門能力であり、非認知能力とは、意欲、好奇心、忍耐力、リーダーシップや社会性、創造力、協調性等、点数で評価できない能力です。大学では、認知能力を高めるだけでなく、非認知能力を高めることが大切です。そして、この非認知能力は個人個人が自らの経験の中で学び、身に着けていくことができるのです。

 近い将来大学で学ぶ志木高生は、この講演を自分の学習や人生に関わるテーマとして熱心に聴いていました。講演後の質疑応答では、3年生の生徒より「人口減少が進む一方で技術革新により雇用の減少も進むという状況についてどのように考えればよいでしょうか」という質問があり、人口減少、技術革新、生産の海外へのシフト等、さまざまな要因が雇用に影響をあたえることについてご説明をいただきました。

 またこの日は、講演に先立って、3年選択科目「芸術A」履修生徒による合唱と、夏休み中にハワイのプナホウ・スクールが主催するSGLI(Student Global Leadership Institute)に参加した生徒3名による成果報告も行われました。
 「芸術A」の合唱では「慶應義塾塾歌」「男声合唱とピアノのためのシーラカンス日和より 5.音速平和」「バンザイ」の3曲が歌われ、最後の曲「バンザイ」では会場の生徒皆で手拍子をして盛り上がりました。
 今年度のSGLIの共通テーマは「peace」であり、成果報告では、身近にできることから始めよう、列車内をより平和な空間するため「ヘルプマーク」を付けている人を見かけたら座席を譲ろうという呼びかけがありました。

 次回の第124回志木演説会は2018年7月を予定しています。