SGLI(Student Global Leadership Institute)は、ハワイ州のプナホウ・スクールが2010年に発足させた国際交流プログラムである。プナホウ・スクールは、オバマ元米国大統領や有名な実業家などを多数輩出した名門校で、当プログラムは、グローバルな視点で理解し活動できる若いリーダー、世界で活躍する人材を育成する目的のために設立された。

プログラムでは、世界各国から集まった生徒たちが、2週間寝食を共にしながらワークショップ、ディスカッション、プレゼンテーションを行う。今年は、アメリカ、日本をはじめ、中国、デンマーク、インド、イギリス、フランス、韓国、スコットランド、スウェーデン、ニュージーランドから28高校78名の高校生が主催者のプナホウ・スクールから招聘され参加した(7月14日~27日)。 本校は2014年に初参加してから今年で6回目の参加で、私自身は今回が初めての参加だったが、選抜された生徒3名(2年生の舘恒太朗君、阿曽春哉君、佐藤歩君)を引率する役目を果たしてきた。

プログラムは毎年テーマが設定されており、今年のテーマは"moral courage"(道徳的勇気)であった。志木高の生徒たちは、最終的に「hikikomori - 引きこもり」という主題で挑んだ。この現象は日本特有かもしれないが、様々な理由で社会から隔絶された引きこもりの人たちの実態を、彼らの目線で世界の人たちに伝えていたと思う。非常にシリアスで繊細なトピックを取り上げたのも、彼らには勇気がいることだったと思う。引きこもりに対して、会場から質問が上がっていたのも印象的であった。

 

ディスカッション風景

プログラムには、想像力、問題解決能力、コミュニケーション力が問われる。英語が得意な生徒たちとはいえ、異文化の地、異環境でのプレゼンテーションには勇気がいっただろう。そのような中で生徒たちが堂々と話している姿を見て、私はとても誇らしく思った。実際は自信を持てなくなった場面もあったかもしれないが、このプログラム自体、グローバルに活躍する国際人を育てる目的で発足したものだ。日本では、英語で自分自身を発信できる人間は、まだそう多くはない。英語でのスピーチという言語の面だけでなく、ここで得た成功と失敗の体験すべてが、これから自分で考え表現するために役に立っていくだろう。この2週間で彼らはグローバルな意識で考え行動し、世界の空気を味わい、たくさんのことを学んできたと信じている。

SGLIはハワイでのプレゼンテーションで終り、ではなく、この先も活動が続く点で非常にユニークなプログラムと言えよう。帰国後も、各国、日本の他校の生徒たちとの交流が続いていくのも、SGLIに参加する大きな利点である。彼ら3人には、この経験を生かして、これからの国際人として大きく羽ばたいていって欲しい。

引率教諭 エドワード・バトリー(外国語科)