shikimori2015spring14.jpg志木の森ツアー2015春(3/16~3/19)が無事終了しました。今回は夏のツアーに続く里山の調査に加え、およそ20年前に植樹した深山の木の間伐(伐採)を体験しました。

慶應志木の森・里山は雑木林です。ここでは単位区画の植生調査、いわゆるプロット調査を行っています。最近、日本の多くの森では野生の鹿が増えており、木々の新芽を食べてしまいます。里山の一部に施した鹿よけのネットの内と外では、木々の成長の具合に大きな差が出ることは夏のツアーで確認しました。しかし、調査の対象になっている木につけたテープや印が風雨や鹿などにより剥がれてしまい、どこに何の木があるか分からなくなってしまっているところも何カ所かありました。そこで今回の調査では、調査区域のどの位置に何の木があるかの地図作りを行いました。

具体的には20mのメジャーを使って調査区域の形と大きさを測り、調査の対象になっている木がどの位置にあるかをプロットしていきます。また、木の種類は参加者のうち生物を履修した生徒が授業で使った『葉でわかる樹木』という本を持って現地で調べます。予定では調査区域A・A´、B・B´(調査区域AとBのネット内とネット外の合計4区域)を調査する予定でしたが、現地に行ってみると2011年度で途絶えてしまった古いデータが出てきました。それはこの他の4カ所で樹種・樹高・胸高直径(太い木に限る)を調べたものでした。そこでこれらの調査区域を区域1・2・3・4として対象の木にネームプレートをつけ、3年半ぶりの実測をしました。

結果は例えば4mほどの木が3年の間に12mくらいになっていました。また、北斜面の木の方が成長が早いことが分かり驚かされました。今回はA・A´、B・B´、1、2、3、4の6ヶ所の区域を調査しましたが、枯れて木の葉が生えず種類を特定できなかった木もありましたので、地図作りは夏に続きます。

shikimori2015spring06.jpg慶應志木の森・深山では、1996年に植樹をした木が8mを超す高さになり、いよいよ間伐をするときがきました。およそ20年上の先輩が植えた木を伐採することになります。木は間伐をしないと大木にはなりません。また間伐をすると枝葉が地面に落ち良い腐葉土になります。さらに光が地面に入ることで草が生え保水力のある土地ができます。こういうことを肌で感じながら、生徒たちは先輩方が植えた木を伐採したのです。

実際には切り倒すだけでも大変で、切り倒しても枝を落とし、木を担いで斜面を登る重労働でしたから、感慨に浸る余裕はなかったと思います。しかし考えてみれば、生徒たちにとってはお父さんの世代が植えた木を伐採したわけです。私は苗木の頃のことを思い出して時間の長さを感じていました。いずれはおじいちゃんが植えた木を孫である生徒が伐採するなんていうことがあるかもしれませんね。

志木の森ツアーは森林調査だけではありません。夏のツアーでも好評だった伊勢神宮参拝、春の穏やかな陽射しの中の馬越峠(熊野古道)のハイキング、そして今回の目玉は野外料理です。数年ぶりのバウムクーヘンづくりは、自分たちで伐採した木の皮を剥ぎ、火の上で木にタネを塗りながら回転させ太くしていきます。完成まで約2時間半、隣で薪を割り火加減を調整しながら、交代しながら回します。他にも生地からピザを作り、さらには鹿の肉をいただき、飯盒炊爨でそのままバーベキューに突入です。結局、鹿肉8.5kg、ピザ20枚、34合のご飯を、生徒30名であっという間にたいらげ、食後に極太のバウムクーヘン2本を小さく切ってみんなで分けました。食べる、食べる...高校生の食欲旺盛さには毎回驚かされます。