2025年6月22日(日)、大阪万博で厚生労働省医政局研究開発政策課が主催する「再生・細胞医療・遺伝子治療分野の情報発信」での「新時代の治療法~再生医療の最前線~」において、本校2年生の岡本憲眞君含む チーム「早慶城」が発表しました。 同チームの発表題目は「Integration of CRISPR-CasΦ&Immune Tolerance」で、これは先の第24回日本再生医療学会の「中高生のためのセッション (アドバンストコース)」にて金賞を受賞した発表内容を再編集したものです(※金賞受賞ニュースはこちら)。以下、岡本君の感想です。
大阪万博では「遺伝子疾患に対する新たな治療法」という再生医療学会での発表内容をベースにして、重要箇所に詳細な補足説明を加えてスピーチをしました。私の担当は以前に引き続き「倫理的・法的・社会的課題」でした。 再生医療学会での発表では、遺伝子関連の新技術が優生思想に陥りかねないという課題への対策として、累進課税的な保険制度の強化を提唱しました。
しかし、遺伝子関連技術にまつわる課題は他にも多くあります。その一つが宗教にかかわる問題です。なぜなら、遺伝子に関与しうる諸技術に対して、各宗教はそれぞれ異なる見解と反応を示すからです。遺伝子治療では、各宗教の教義の違いから偏見や差別が生じないようにせねばなりません。さらに言えば、宗教だけでなく、各個人の信念や価値観も尊重した治療でなければなりません。
そこで今回の発表では、世界三大宗教を例に挙げながら「治療を拒む人は必ずしも不幸だとは評せない」という内容を聴衆に訴えかけ、新しい治療法の選択/不選択にまつわる偏見や差別を防止するためのインフォームド・コンセントの重要性を強調しました。遺伝子関連技術を用いた治療はデリケートな側面をもつがゆえに、誰もが安心して治療できる「環境づくり」 が必要なのです。
最後に、万国博覧会という歴史的にも大変光栄な舞台で発表を行えたことを誠に光栄に思います。たくさんの聴衆を前にしての発表には緊張も伴いましたが、それでも最大限に満足できる結果を残せたのは、日頃ご指導して頂いている志木高の先生方、発表にあたって力を貸してくださった順天堂大学の皆様、そしてチームの仲間たちのおかげです。 自分の成長はもちろん、何より楽しい貴重な体験となりました。ありがとうございました。