原田 千花

タスク活動を通じて、英語の発信力を育成する

chika02.jpg生徒との会話の中で、「なぜ英語を勉強するのか?」という問いに対する最もポピュラーな回答は、「英語を話せるようになりたいから。」というものです。そこで私のコミュニケーション英語Ⅰ・Ⅲの授業では、教科書の英文内容に関連したタスク活動を積極的に取り入れ、英語のアウトプットの機会を設けるようにしています。

タスク活動とは、ある課題を設定し、生徒はペアワークやグループワークを通じてその解決策を探すというものです。この活動においては、言語の使用における正確さよりも、意味内容を相手に的確に伝えることに重点が置かれています。ですので、発話時における間違いはほぼすべて許容され、生徒は安心して意味内容の伝達に集中することができます。

例えば、教科書のトピックが「宇宙旅行」だった場合、「3日間、あなたが宇宙旅行に出掛けるとするならば、何を持参しますか?ただし、個々のアイテムにはそれぞれ重量があり、総重量は一人10キログラムまでとする。」といった課題を出します。生徒はグループワークを通じて、限られた重量制限の中、各アイテムの重量が記された表と睨めっこしながら、何を持参するのか話し合い、グループ内で意見を集約します。最後にアイテムがすべて決まったら、その理由も添えて、クラス内でグループごとに発表を行います。

このようなタスク活動が目指すものは、教科書の英文を読むことによって得た知識や情報をそのままで終わらせることなく、今度は実際に使用し、アウトプットすることです。生徒は与えられた課題を解決するために英語を使用し、使用することによって必要な単語や文法を習得していきます。つまり英語について勉強するのではなく、英語をあくまでも目的達成のためのツールとして利用することが、このタスク活動においては求められているのです。必要に応じて使用する英語は、生徒にとって本当の意味での知識となり、定着していくことでしょう。そして恐れずに英語を話すことで、英語を発信することの楽しさを感じてもらいたいと思っています。

原田 千花(はらだ ちか)
担当教科:外国語  空手部副部長

(2013年4月)