樋口 聡

予想する楽しさ

higuchi02.jpg理科(地学)を担当している樋口です。現在、三年生の自由選択科目では天気予報の講座を開講しています。内容はご想像の通り。天気図を見て今後の空模様を予想するのです。

天気というのは実に面白いものです。空にある雲や風、それが過去と全く同じに動くことは決してありません。でも天気は過去にあった時と同じような展開を見せることがしばしばあります。空気は目に見えません。それを見える形にしたのが天気図。テレビでおなじみの衛星画像、アメダス、レーダーなどです。そういうデータから今後、空模様が「いつ」「どこで」「どう」変化するのかを自分で予想するのです。

予想するときに知識があると役に立ちます。これはスポーツでいえば体力づくりに相当するでしょう。漁師さんは港に吹く風と空を眺めるだけで天気を予想できますが、私たちにはそんな経験値はありません。ですから気象庁が作ってくれるさまざまなデータを参考にします。

天気図には「西高東低」や「梅雨」など気圧配置があります。上空の天気図というのもあります。衛星画像の雲は成長しながら形を変えます。アメダスやレーダーは低気圧や台風などがつくる雨域の形、時々刻々の動きを見せてくれます。そして雲や風はたいがいどうやって動くのか。それによりどんな天気になるのか。知っていると予想の当たる確率が上がります。

予想をしたら決断をすることも大切です。私はなるべく朝に天気予報を見るようにしています。それも天気図が出てくる番組。傘を持つべきかどうか、上着を着るかどうかは自分で判断します。時には失敗してずぶ濡れになったり寒い思いをすることもあります。そこで悔しいからどうして間違ったかを考えます。それが次に生きてきます。

気象を勉強した卒業生が「天気予報って当たり前のことを言ってるだけじゃん。」と言ってくれました。気象の勉強がきっかけで気象予報士試験を受験し見事に合格した大学生もいます。予想する楽しさを知る人が年ごとに増えています。

樋口 聡(ひぐち さとし)
担当教科:理科 気象予報士 卓球部部長

(2013年5月)